コーチング領域でたびたび話題に上がる本──
ある意味、コーチングに関わるなら必読書のひとつと言われているこの『MINDSET マインドセット』を、改めてじっくり読んでみました。
本書では、「硬直マインドセット(Fixed Mindset)」と「しなやかマインドセット(Growth Mindset)」という2つの考え方の違いを、数多くの具体例と切り口から、丁寧に解説しています。
教育、ビジネス、スポーツ、子育て。
さまざまな分野における“成功する人”と“伸び悩む人”の違いを、実例とともにわかりやすく伝えてくれる一冊です。
本書が勧める「しなやかマインドセット」とは、才能は生まれつきのものではなく、努力によって伸ばすことができる──
そう信じて、学びと成長に前向きに取り組む考え方です。
一方で、「硬直マインドセット」の人は、才能や能力は固定されたものであり、自分を有能に見せることに固執してしまう。
新しい挑戦を恐れたり、他人からのフィードバックを拒絶する傾向があります。
しなやかなマインドセットを持つ人は、失敗や困難にも柔軟に向き合い、他責にすることなく、自分自身の課題として受け止め、成長へとつなげていきます。
特に心に響いたのは、バスケットボール界の伝説──マイケル・ジョーダンの例でした。
彼もまた「しなやかマインドセット」の持ち主だったと言われています。
ジョーダンは、自分を“神様”などと称することはなく、むしろ数多くの失敗を正面から受け止め、それをバネにして、理想に向けたひたむきな努力を続けた。
彼が現役だったころからファンだった私にとって、このエピソードはとても嬉しく、そして心から納得できるものでした。
もしあなたがこれまで、失敗を恐れて挑戦をためらった経験があるなら──
このジョーダンの姿勢は、何か気づきを与えてくれるかもしれません。
この本を読んで、改めて自分自身の過去を振り返ってみました。
かつての私は、どこかで「他人より優れていたい」という思いが強く、失敗を恐れ、新しいチャレンジを避ける傾向があったかもしれません。
他人からのフィードバックを素直に受け取ることも、難しいと感じていた時期がありました。
今は違います。
自分が本当にやりたいゴールに向かって、しなやかに前に進んでいる実感があります。
この本を読みながら改めて感じたのは、ゴール設定のあり方とマインドセットの関係性です。
本当にやりたいこと──
そして、社会や周囲に貢献できることをゴールに据えると、自然と「成長を楽しむしなやかなマインドセット」になっていく。
逆に、「偉くなりたい」「成功したい」や、明確な意味のない「スキルアップ」だけを目的にすると、自己防衛本能が強まり、結果として硬直的なマインドセットに陥りやすい。
ここで大切なのは、自己成長のゴールが、単なる自己完結ではなく、未来に向かって開かれているかという視点だと思います。
あなた自身は、今、どんな未来に向かって努力していますか?
そのゴールは、自分のエゴを満たすためでしょうか。
それとも、誰かや社会にプラスをもたらす未来へとつながっているでしょうか。
『MINDSET マインドセット』は、数多くの成功と失敗の事例を通して、「努力の力」と「変わることの可能性」を教えてくれる一冊です。
アメリカの本ですが、翻訳も読みやすく、違和感はありません。
特に、子育てや教育に携わる方にとっても、多くの気づきが得られる内容になっています。
自分の生き方、日々の過ごし方を見つめ直したいと感じている方に、ぜひ手に取ってほしい一冊です。
そして、しなやかなマインドセットを育て、未来に向けて一歩を踏み出すためのヒントを、きっと見つけられるはずです。
いまの自分に満足していないなら──
次に書き加える未来のストーリーは、きっとあなた自身で選ぶことができるのです。