「もう変われない」
そんな言葉を、私たちは時々、無意識に口にしてしまうことがあります。
年齢を重ねたから。
これまでのキャリアがあるから。
過去の自分に縛られてしまうから──。
けれど、本当にそうでしょうか?
哲学者ジョン・ロックは、人間についてこう語りました。
タブラ・ラサ──
「人は生まれたとき、白紙の石板のような存在である」と。
この考え方は、イギリス経験論と呼ばれる思想の中核にもなっています。
人は生まれながらに何かが決まっているのではなく、
経験し、学び、選択しながら、少しずつ自分自身を形づくっていく存在──。
私は、この考え方は、生まれた瞬間だけでなく、
人生のどのタイミングにも当てはまると思うのです。
どんな年齢でも、どんな立場でも、
人は、自分という「石板」に新しい物語を書き加えることができる。
今この瞬間から、未来に向かって自分を書き換えることができる。
私はそう、本気で信じています。
正直に言えば、私自身も最初からそうだったわけではありません。
30代後半、それまでコンサルティング業界でプロジェクト単位のチームしか率いたことのなかった私が、
いきなり300人規模の企業再生のトップとして現場に立ったとき、
私は「自分には無理かもしれない」と感じていました。
求められるリーダー像も、人間関係の築き方も、
それまでの経験とはまったく違っていたからです。
でも、そのとき私は、自分に問いかけました。
「ここでの自分は、どうありたいのか?」
そして、「これまでの自分」ではなく、
「これからの自分」にふさわしい役割と人格を、自分で描き直すことを決めました。
書き換えには勇気がいりました。
でも、少しずつ、チームと向き合い、未来を語るリーダーへと自分を育てていくことができたのです。
40代になってからは、スタートアップの世界に飛び込みました。
そこには20代の若いエンジニアたちがいて、
上下関係ではなく「共に未来をつくる仲間」としての関係性が求められました。
また、自分の「あり方」を書き換える必要がありました。
年齢や立場に依存せず、ひとりの人間として信頼を築き直す。
これもまた、大きな書き換えのプロセスでした。
今、私はAIという未知の領域に向かっています。
一から学び直し、仕組みそのものを理解しようと努力しています。
一次産業の現場にテクノロジーをどう活かすか。
この挑戦もまた、自分の石板を新しく塗り重ねていく作業です。
そして、新たな事業の立ち上げにも挑もうとしています。
成功する保証などありません。
けれど、「ただやりたい」という想いを信じて、一歩を踏み出そうとしています。
私がこの経験を通して強く感じるのは、
「変わる力は、年齢や過去に関係なく、誰にでもある」ということです。
自分自身を信じて、
過去ではなく、未来に向かって新しい言葉を石板に刻み始めること。
それは、どんなときにも可能なのです。
そして、
「どんな未来を生きたいのか」
「本当の自分は、何を目指しているのか」
そんな問いを、自分自身に投げかけることも、とても大切だと私は思います。
ただ変わりたいと願うだけでなく、
自分が本当に描きたい未来を、自らに問い続ける。
そして、その答えを少しずつ見つけながら、石板に新たな言葉を刻んでいく。
Your Goalコーチングは、
そんなあなたの「問い」と「挑戦」に、静かに寄り添う場でありたいと願っています。
あなたの石板には、今、どんな物語が書かれているでしょうか?
もし、今の自分に違和感を覚えるなら、
それはきっと、新しい未来を書き加えるチャンスかもしれません。
いくつになっても、人は変わることができます。
そして、あなたにも、その力は確かに、すでに備わっています。
意志をもって未来を描き続けるすべての人を、
これからも、心から応援していこうと思います。